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日露首脳会談 北方領土帰らず

領土問題進展を煽ったマスコミに反し、日露首脳会談は安倍首相の認識不足が際立つ外交敗北となった。プーチンは、ウクライナ問題での制裁包囲網に風穴をあけるだけでなく、1兆円規模(公表は3000億円)の投資を獲得した。このところ対米外交では、次期大統領であるトランプ氏と現大統領であるオバマ氏の二股外交を行い、TPPではキツイ洗礼をトランプ氏から受けている。

安倍首相は、良好な関係を振りまいているが、トランプ氏の今後の出方は分からない。
米中の貿易に軋轢が生じると、日本や韓国は大きな影響を受ける。
またドルの利上げが確実視されており、中国から投資が逃避することは間違いない。
マスコミはあたかも米中対立が今後の展開のように書くが、米中が対立するといつも日本が負担を強いられてきた歴史がある。

米国の大統領が日本の立場を忖度しないで、直に米中貿易問題をやれば、日本や韓国は入り込めない。
たしかに中国の南シナ海での立場は国際的に問題だが、これらの情勢について、日本が包囲網を崩して単独外交をする能力がありうるかという問題がある。

足元ではオスプレイが沖縄辺野古近郊で墜落し、海兵隊司令官の態度が物議を醸しているとき、安倍首相はプーチン大統領との首脳会談にかまけている。

これは好ましい外交姿勢ではない。
経済で領土問題は片付かず、むしろ戦後レジームを云うなら、日米地位協定を先にやるべきだ。
この日米地協定をやらずに、北方領土問題をやるのは難しい。
なぜなら、ロシアが仮に北方領土を返還したとして、その地に日米共同で使える基地を造られてはたまらないというロシア側の立場がある。
したがって日米地位協定が日本の主権が及ぶように改定されない以上、ロシア側は返還には乗らない。

アベノミクスが失敗に終わり、外交で得点を稼ごうと焦ったが、これも失敗に終わった。
理由は前記のとおりである。
安倍首相は大きな歴史的イシューをぶち上げるが、どれも上手く行っていない。
今は伸びない経済という足元を慎重にやるときであり、ばら撒きでは問題は解決しない。
次期トランプ大統領は、安倍首相の外交を見て、さらに単独行動を強めてくる。

足元を固めないで大立ち回りばかりして、さっぱり成果があがらない。
ドイツのようにこつこつと成果を積み上げていくような経済政策がなければ、日本は沈んでいくばかりだ。