2017年6月20日の小池百合子都知事記者会見で公表された築地市場移転問題をめぐる基本方針を受け、当会から以下の声明を公表しました。
「豊洲移転方針を受け入れることはできない」
小池百合子都知事は、6月20日に、築地市場移転問題をめぐる基本方針を発表した。内容は、「豊洲移転、築地も5年後をめどに再開発」とするものだった。問題点として、まず、この方針がどのように検討されたものなのか、経過が明らかではないことが挙げられる。
内容についてもいくつもの疑問がある。豊洲市場の無害化が移転の前提となるはずだが、それが現状ではできていないことは小池都知事自身が認めていることである。また、築地市場は「再開発」というが、その具体的内容も明らかではない。豊洲移転後も卸売市場として運営しつづけるということなのかどうかも明らかではない。
加計学園事件で大問題になっている「国家戦略特区」を活用するという案も報道されているが、築地の未来像が明らかにされないまま突き進むのだとしたら大問題である。築地の活用について、小池知事の現在の任期後となる「5年後を目途」に決めるということも無責任である。築地市場で働く人たちや関連業者の方々が、5年後まで築地市場が将来的にどうなるのか不明なままに放置されることになってしまう。
都民の立場からいえば、どれだけの税金が投入されるのか不明なままに、この方針が出されていることも見過ごせない。豊洲の無害化のために追加でどれだけの税金が必要なのか、そもそも無害化は可能なのか。この問題は、築地市場で働く多くの方の生活がかかっている問題であり、丁寧な説明と合意形成を積み重ねる努力が不可欠である。説明不足のままの移転決定は許されない。
築地市場の活況とにぎわい、「築地ブランド」は、競りや目利きを行なう仲卸業者とそこで働く労働者によって成り立っている。豊洲移転は、多くの仲卸業者を廃業に追い込むこととなる。5年後に築地を再開発するとしても、肝心の仲卸業者が疲弊してしまっていれば、築地の活況やにぎわい、築地ブランドは取り戻せなくなる。
当会は、すでに「築地市場の現地再整備」を求める声明を出している。引き続き、小池都知事に、築地市場の関係者への丁寧な説明と合意形成、そして多くの都民のもつ疑問への誠実な回答を求めるものである。
7月2日投開票の都議会議員選挙においても、この問題をめぐる議論が行なわれることを期待したい。当会としても、築地市場の現地再整備にむけた世論喚起と都政チェックを引き続き進めていく決意である。
2017年6月23日 希望のまち東京をつくる会