23日の産経新聞は、生活の党の小沢代表と共産党の志位委員長が、月刊誌「世界」別冊(岩波書店)で対談し、「安倍政権は最悪の政権」との認識で一致したことを取り上げ酷評している。そのなかで安保法は、フジ産経合同世論調査で「必要」とする回答が57.4%となったことを挙げている。
しかしながら新聞、テレビ(フジ)ともに凋落から抜けられないこの周回遅れのメディア集団の先行きは暗いだろう。安倍自民党は、殊更に日米同盟を強調することで安保法の違法性から国民世論を逸らそうと躍起だが、野党が提出した廃止法案には一切触れようとしない。
むしろ自民党にとって安保法は、総選挙の「腫れ物」のような存在と位置づけられている。
今月の29日には安保法が施行される。既に施行を前に全国でデモが広がりを見せており、29日には国会前で大きな集会が予定され、そこから7月10日過ぎに予定されている参議院選挙に向かって全国的な市民による反対運動が予定されている。
自民党はおそらく選挙を盛り上げず、選挙前に消費増税10%先送りや補正予算を打ち出してアメ玉作戦を繰り出すなどといった選挙戦略を展開するものと見られる。対する野党側は、市民5団体との連携を視野に、全国で候補者を一本化して選挙戦を戦うことになる。
まず産経新聞に反論しておきたい。
貴新聞のなかには、憲法が分かる編集者はいないのか。
ここは日本であり、その法規範は憲法である。
産経新聞が自由な編集、自由な記事を書けるのもまた憲法に基づく。
読売や産経は、まともな安保法に対する違憲性の反駁ができていない。
租税を課すのもまた憲法に基づく。
我が国の憲法三原則は、「国民主権」「平和主義」「基本的人権」である。
安保法はこのどれもを侵害しているのみならず、戦後70年の歴代内閣並びに内閣法制局が積み上げた見解とも相容れない。石川健治(東大 憲法)教授は、閣議決定~安保法に至る一連を「クーデター」と批判している。
率直で恐縮ではあるが、安保法はまことに「全身違憲の法律」である。
憲法の基本原則を侵害し、法としての立法事実もあやふや、規制範囲もあいまいで、本法律は憲法学者らの指摘とおり「法的安定性」を欠く。実施に至れば、危うい局面で交戦が生じる蓋然性が高く、何か実施する度に違憲訴訟が提起され、もはやまともな国家体制とは云えなくなる。
これは恐れではなく、共有されている事実である。
施行日以降、全国で差し止め訴訟や国会賠償請求訴訟が提起されるが、これは第一波に過ぎず、その後の法実施に伴う混乱は避けられない。憲法学者(立憲デモクラシーの会など)集団が、公開討論会を要請しているが、これも聞かぬふりだ。
逃げて逃げて逃げまくって、やることだけ強行で、そのうち分かると嘯くが、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の本部があるベルギーの首都ブリュッセルがテロの標的になった。邦人も犠牲になっているが、政府は「テロに屈しない」といつもの無責任な通り文句を云うだけ。
問題解決能力などない。
はて、ロクに問題解決できない安倍政権と安保法の間には大きな溝がないか。
なにも難しいことはない。
爆撃すればその相手はテロだろうがなんだろうがやってくる。
そんなこと当たり前だ。
既にアフガンはタリバンが勢力を盛り返し、手が付けられない。
イスラム国は叩かれているが、これまでの経過を見れば、また勢力を盛り返すだろう。
本紙は、この国際衝突を「21世紀の十字軍」と認識している。
まさにいまこそ平和憲法が生きるときだ。
そしてその行動は、日本にとって価値あるものと確信する。
戦争勢力には負けない。
日本を「十字軍」の一員にはさせない。
参議院選挙はそういう歴史的な選挙であると認識し闘う所存である。