2019年1月28日、国会内で5野党1会派の党首会談が行われ、各党(野党)の党首、幹事長・書記局長が出席し以下の合意事項を確認した。
野党党首会談合意事項
○本通常国会において、野党5党1会派は協力連携を強め、立憲主義の回復や、また国会の国権の最高機関としての機能を取り戻し、国民の生活を豊かにし権利を守るため、安倍政権打倒をめざし厳しく対峙(たいじ)していく。
○内政・外政の山積する課題について徹底審議を行う。
○「毎月勤労統計」問題についての全容解明を行う。
○今夏の参議院選挙に際し、安倍政権打倒をめざし、32の1人区全ての選挙区において、与党を利することのないよう、速やかに候補者一本化のための調整を図る。
野党5党1会派の幹事長・書記局長は、これらの確認事項の目的を達成するために、早急に協議し、その具体化を進める。
現時点での合意は、総論的なものに止まるが、1人区1本化の協議が始まることは夏の参院選に向けて一歩前進と見てよい。
ここで参院選について、少し整理しておく必要がある。
参議院の議員定数は242人で、3年毎に半数改選であるため、選挙区73議席と比例代表48議席(合計121議席)が争われる。
選挙区は各都道府県に1つ置かれ、比例代表は全国統一方式(この点で全国11ブロックからなる衆議院議員総選挙の比例代表制とは異なる)。(比例には政党要件として、国会議員5名以上又は直近の国政選挙での得票率が有効投票の2%以上などの要件が必要になる。)
選挙区は複数区(13)と1人区(32)がある。
複数区は、都道府県毎に2人~6人の当選枠で争われ、獲得投票が多い順番に当選となる。
一方、比例区は全国統一で行われるため、政党の支持率がそのまま獲得議席につながりやすい。
概ね100万票に1議席が目安となる。
選挙区の1人区は、政権与党である自民党と公明党が選挙協力を行うため、野党側が個別に戦うと票が割れてしまう。
そこで3年前の参院選では、32の1人区で野党側が候補者の1本化を行い、東北や北海道などで幾分巻き返したものの与党の3分の2は動かなかった。
ここで参院選の大きな特徴を踏まえておく必要がある。
それは、衆議院選挙に比して、参院選は云い方はよくないがミーハー選挙になり易い傾向がある。
つまり、比例と複数区及び1人区どれもが、内閣支持率や政党支持率の影響を受けやすいということを意味する。
本紙の世論調査よりさらに厳しい朝日の世論調査が、例えば国民民主党において1%を切る意味の厳しさを朝日は暗に伝えている。
したがって1人区1本化は、与党側が選挙協力している以上必要条件ともいえるが、過半数の逆転を目論む場合、やはり政党支持率を同時に浮揚させる必要があるが、これがあまり浸透しておらず、野党の不協和音がマスコミに報じられること等が大きなマイナス要因となり得る。
参院選は、人気投票的な意味合いを踏まえる必要があり、したがって、比例、選挙区複数区、選挙区1人区ともに一定の影響があるという結論と見てよい。
各党も参院選に向けて、知名度が高い候補者を比例区や選挙区に担ぎ出す事例が多いのはこのような参院選特有の選挙情勢による。
ここで大きな争点になりそうなのが、消費税10%の可否で、なぜなら、安倍政権は森友・加計問題が全く片付いていないばかりか、ここにきて統計不正問題を追及され、アベノミクスの信頼が足元から揺らいでおり、本当に消費税10%を掲げて選挙戦を戦えるかという大きな課題
に直面しており、これは前記のような知名度が高い候補者や唐突な改革を叫ぶというような奇をてらった手法では越えられない壁と見ている。
したがって選挙直前になって、私の任期中は消費税10%はない、などが打ち出される可能性も否定できない。
しかしながら果たして先送りだけで本質的な問題が解決されるのかと云えば、誰もがそう思っておらず、ここで立憲民主党が提唱する経済財政政策が浮上することになる。
これは、税金の使い方の改革というもので、同時にお互いさまに支えあう社会というスローガンは、日本を再び成長路線に乗せるひとつの改革の提言であるとして本紙は、民進党代表選の時より注目している。
これらをひとことで云うと「行き過ぎた新自由主義の是正」ということになる。
この趣旨は、米国のサンダース議員も提唱しており、そろそろ政治は何のために、誰のためにあり、国民はなぜ税を負担するのかという原点を争う時が来ていると云えよう。