世論操作の影響
英国の国民投票がまさかの結果となり、世界中に経済や安全保障、移民・難民などの大きなショックと影響を与えている。この背景には過去の植民地からの人材輸入が奴隷的であったにせよ、白人を上にした人種差別的縦社会でうまくいっていた時代を回帰する高齢層の勢力が大きかったとも言われる。加えてEU加盟によって先進国が経済弱小国の負担を大きく背負っていた。とりわけギリシャ問題では鮮明となった。
そして人道上での難民受け入れ態勢への不満も強かったようだ。そして歴史上にもこういった移民や難民が低条件とはいえ、自国の雇用機会などを大きく奪ったという固定観念も強かったようだ。それに対して若者は生まれたときからEU加盟しており、昔をよく知らない。離脱することでの意義を見出せない状態であった。加えて事前の世論調査では残留派がわずかに有利と言う見方が多かった。
これが「自分の1票で大きく変わることはない」と投票棄権した者、都市部等当日は雷雨など天候が思わしくなかったことなどが結果的に残留派の投票を減らし、まさかの結果となったといえる。一連の結果に多くのコメンテーターなどは「キャメロンが甘い判断で国民投票をしたことがよくなかった。」と言うコメントが蔓延した。・・・果たしてそうだろうか?これは民主主義、立憲主義を冒涜するものではないだろうか?英国内ではEUの残留・離脱問題は長く議論が分かれていた。そういう中での国民投票の選択はありえることである。
日本でも消費税増税を社会保障充実にと言う3党合意で、その是非を「やるからには議員定数削減など身を切る努力を!」の引き換え条件に衆議院の解散を行った野田前首相がいた。結果的に政権交代とまさかの結果をよんだ。しかし引き換え条件の身をきる努力は反故にしたままである。
しかしこれもひとつの民主主義の結果でもある。日本には空気を読む・・・、事なかれ主義など保守思考が多いとも言われる。しかし、庶民感覚で景気の停滞や「政治とカネ」などお金の動きには敏感で感情的な情緒的な思いがまさかの行動を呼び起こすことがある。今回の舛添問題も問題の本質よりもそのセコイ金の使い方に怒りを覚えた。そして、空気を読むと意味では世論調査の動きが横並び発想で投票が決まるケースもある。
そういう中で日本では参院選の世論調査を新聞各社は公示2日で世論調査を決行した。2日でどれだけの人が理解して答えたのかは疑問である。ましてやRDD方式と言う固定電話の人へのテープによる聞き込み調査。どれだけの属性、年代層、男女などがどうかは不明のままである。
ひとつ共通で気づいたのが全社サンプル25000件前後と横並びのような数字。また、国会閉会の翌日にはNHK,読売、朝日、毎日、産経、日経の各社首脳と政治評論家の田崎氏が安倍首相と3時間の会食があったことが首相動静で確認されている。その後の記者クラブ主催の党首討論での読売橋本五郎氏の独善的な司会を見る限り、記者クラブとしてのひとつの方向、シナリオがあったとも思われる。
記者クラブは権力の犬的なところがあり、常に政府に近いスタンスを取らないと情報の優劣があり、否定的な取材には情報弱者とばかり隠蔽する傾向が権力者にはある。それが記者クラブつまり既存メデイアには権力寄りになる話でもある。このほかにも新聞、テレビで多くの既得権への影響もでる。今回の早すぎる世論調査の戦略は何か?ズバリ日本人の空気を読む特質を狙ったものである。
それは現在、人口は65歳以上の方が35%、64歳以下は65%である。高齢者は比較的保守思考が強い。つまり35%のうち25%が保守に寄ったとしたら,対抗勢力は64歳以下で2/3を超えないと過半数にはならないのである。早すぎる世論調査は恐らく全体の6割近い組織票の動向を読んだものと思われる。
企業団体組織票が高い自民党など保守勢力が強い数字は可能である。これを打ち出すことで40%といわれる無党派、浮動票が「自公で変わりがないのなら、俺の1票は影響ない。」と投げやりな日本人の空気体質を浮動票の減少を狙う作戦と見るのが妥当かもしれない。実際、某元大新聞社の記者が世論調査発表前日に「担当班がその微調整に懸命だった」と暴露したことがある。今回の世論調査も疑わしいところである。
参院選以外にも都知事選でも前総務省事務次官の桜井氏の擁立話が消えない。自民党もマスコミもその意向が強いようである。事務次官と言う実務能力もさることながらタレントのパパと言う知名度や人気もあってのことでしょう。
しかし、この桜井氏は民主党政権時から総務省の重鎮でもあり、長く携帯など通信業務に従事してきたものである。その中で民主党政権では民主党が改革の目玉でもあった電波オークション(テレビと携帯の電波使用料が1対15からバランスのとれたものとすること。つまりテレビの電波使用料の大幅アップ)の政策にストップをかけた人でもある。
実際、民主党政権で微増したテレビの電波使用料も自民党政権になってもと通りになっている。テレビにとっては既得権を護ってくれた都合のよい人でもある。高市大臣の「電波の停止もありえる」と言う都合の悪い情報を流すテレビへの圧力にもテレビ擁護の事務次官は都合がよいのである。
そして、この桜井氏退官後は「ジャズ喫茶を経営したい」と都知事への立候補は否定しているが、昨年から事務次官退官後の動向として、息子がニュースキャスターをしている日本テレビの役員として天下りを噂されたこともある。もし、これが事実ならメデイアに都合のよい人が都知事に・・・。メデイアにはこんなおいしい話はない。それが自民党、メデイアの桜井氏を推す裏でもある。
懸命な読者はこういった背景はお見通しかもしれないが、こういうウラがあってのメデイアの世論調査・・・いや世論操作であることをおわすれなく。民主主義は同時に有権者が賢明な判断、行動が望まれることでもある。